今回のフィジカルアセスメントは、顔面です。
顔面の観察や診察については、あんまり意識したことない方もおられるかもしれません。
しかし!
国家試験でも問われたことがある分野です!
ということですので、テーマとして選びました。
それでは、解説していきましょう。
今回の参考書です!おすすめの本です。実習に必携ですよ!
顔面の基本構造と機能について
顔面の骨格は、鼻骨・涙骨・頬骨・上顎骨・下顎骨・鋤骨・下鼻甲介・口骸骨・下骨という9種15個の骨からなり、さらに表情筋・咀嚼筋などの筋肉で覆われています。正常では、顔面の表情、構造はともに左右対称です。
顔面の感覚や運動は主に三叉神経、顔面神経の領域で支配されています。
三叉神経(Ⅴ)
三叉神経は、脳神経の5番目の神経です。脳神経の中で最も太い神経で、顔面の感覚を司る感覚神経と咀嚼筋を動かす運動神経からなる混合神経です。
三叉神経は、橋の外側から出ると3つの枝(第1枝:眼神経、第2枝:上顎神経、第3枝:下顎神経)に分かれて、それぞれ特定の部位を支配しています。
顔面の感覚神経成分については、3つの枝のどれもが関係していますが、運動神経については、第3枝の下顎神経のみです。
第1枝の眼神経では、眼窩、頭頂~鼻の感覚。
第2枝の上顎神経では、上顎~頬部。
第3枝の下顎神経では、下顎~側頭部・外耳道の一部
第3枝の下顎神経領域で、咀嚼筋、咀嚼運動
顔面神経(Ⅶ)
顔面神経は、脳神経の7番目の神経で、顔面の運動神経と舌の味覚の領域に関係しています。
運動神経、副交感神経、感覚神経からなる混合神経です。
運動神経成分では表情筋、副交感神経成分では顎下腺・舌下腺・涙腺、感覚神経成分では、舌の前2/3の味覚などに関係しています。
顔面のフィジカルイグザミネーション
1.顔面の視診
- 病的顔貌の有無を見ていきます。疾患により特有の顔貌になるので、その有無を確認します。
代表的な疾患として、パーキンソン病の仮面様顔貌、ステロイドの副作用やクッシング症候群で起こるムーンフェイス、バセドウ病の眼球突出などがあります。 - 左右の対称性も見ます。正面から見た際の左右対称性に気を付けて観察しましょう。左右で違和感がある場合は、検査を行っていきます。
2.三叉神経に関連した検査
顔面の知覚の検査をします。
患者さんに目を閉じてもらい、ティッシュペーパーや綿などで左右の額(第1枝)・頬(第2枝)・顎(第3枝)の3領域に触れ、知覚の有無、左右差の有無を確認します。
咀嚼筋は、左右の咬筋と側頭筋を観察します。
患者さんの左右の頬(咬筋)に触れます。患者さんにゆっくりと口を開閉してもらったり、歯を食いしばってもらったりし、咬筋の動きを確認します。
次にこめかみ辺り(側頭筋)に触れ、同じ様に患者さんに動かしてもらいます。
3.顔面神経に関連した検査
顔面の表情筋を観察します。
正面に座ってもらいます。
- 両目を見開いたり、おでこにしわが寄るように上を向いてもらいます。
- 両目を固く閉じてもらいます。睫毛の長さに左右差がないか確認します。
- 両頬を膨らませてもらったり、口角が挙上するように「いー」っと言ってもらいます。
顔面のフィジカルアセスメント
1.顔面の視診
顔貌に明らかな異常があった場合は、医師に報告します。
顔面の左右の非対称性が見られたときは、検査をしていきましょう。
2.三叉神経に関連した検査
正常の所見では、三叉神経のどの枝の領域も知覚があり、左右対称です。
異常所見は、感覚障害がみられます。とくに左右非対称である場合は注意が必要です。
脳神経では左右が対象であるため、ほかの検査や所見からアセスメントしていきます。
正常では、咬筋・側頭筋が左右対称にしっかりと収縮します。
咬筋・側頭筋の収縮が減退・消失し、左右差や下顎の偏位が見られると異常所見です。
これらが見られると、第3枝の下顎神経の障害が疑われます。
下顎偏位では、口を大きく開けてもらうと麻痺側に偏位(麻痺側の口の開きが悪い)します。
正常では、表情筋の運動が左右対称にできます。
異常所見では、左右が非対称の運動になります。
・頬の膨らましや閉眼が完全にできない。
・麻痺側は鼻唇溝(ほうれい線)が浅く、口角がさがっています。また、額のしわが少なく、閉眼時の睫毛が短く見えます。
- 重度の顔面神経麻痺では、眼輪筋の筋力が低下して目を閉じることが難しくなります。この状態を兎眼といい、目を閉じることができないことで角膜の乾燥や損傷の危険性もでてきます。点眼などで目の保護を行います。
まとめ
顔面のフィジカルアセスメントについて解説していきました。
フィジカルアセスメントと脳神経は、切っても切れない関係です。少しずつでいいので、脳神経について理解していきましょうね!
学習した内容は、臨床でも活かして、異常の早期発見につなげてほしいと思います。
今回の参考文献です。いい本がたくさんありますので、臨床の方も、学生さんも、教員の先生方も手に取ってほしいと思います。
「看護がみえるフィジカルアセスメント」「日常生活行動からみるヘルスアセスメント」「説明できる解剖生理」「はじめてのフィジカルアセスメント」