看護の基礎技術

【ナースグッズについて】採血の成功率アップ!駆血・駆血帯をマスターしよう!

医療従事者の皆さん、採血や静脈注射・点滴の実施は得意ですか?

看護師歴約20年ですが、ぼくは正直なところ得手でも不得手でもなく「並」です。

採血や静脈注射が「あまり得意ではない」という方も少なくないとは思います。

採血や静脈注射・点滴を実施するとき、うまくするために一番重要なのは「血管選び」です。
どんなに上手な人でも、血管をしっかりと選定できないと失敗する確率も上がりますし、逆に新人さんや採血が苦手な人も血管さえしっかりと選定することができれば、成功する確率はグーンと上がります

これは皆さんも実際に感じたところではないでしょうか。

そして、その血管にしっかりと針を刺せる状態にするには「確実な駆血」が必要なります。

今回は駆血をするためのグッズ「駆血帯」について解説をしていきます。

駆血について

採血や点滴をするときに、選定した血管を穿刺しやすくするために血管を怒張(浮き上がらせる)させます。

採血や点滴は、静脈に実施しますよね。

静脈は、血液が心臓に帰ってくるための道で、心臓から送り出される動脈に比べても弾力性や拍動が弱めです。

そのため、しっかりと血管を怒張させて浮き上がらせることで、血管に穿刺しやすくなります。

駆血は心臓に戻る道(穿刺する血管より心臓側)を、ゴムやバンドなどを利用して塞ぐことです。
そうすることによって血液は心臓に戻れず渋滞をおこして、血管内の圧が高くなり血管が膨らんで浮き出て(怒張)きます。

ただし、とにかく何でもいいから適当に腕をしばって血管を怒張させるのはNGです。

静脈がうっ滞を起こしすぎてしまい、末梢の循環障害やしびれ、圧迫しすぎて痛みや血管の損傷(内出血)、皮膚、筋肉の損傷などの恐れがでてきます。
また、血管が滞ってしまい穿刺血管への血液流入が減少することによって、十分な怒張ができなくなります。

一般的に駆血する圧は、40mmhg程度と言われています。
動脈圧が正常値で40~60といわれていますので、動脈圧より低くギリギリの圧で巻くということになります。

では、この巻く圧をどうやって調整するのか。
正直、しっかり数字をみて圧を調整することはできません。
まずは圧をかけたときに末梢の動脈(腕なら橈骨動脈)に触れてみましょう。

ここでしっかりと拍動が感じられなかったら圧が強すぎます。
逆に圧が弱すぎると、静脈の怒張が弱くなるため、しっかりと怒張できているのか確認しましょう。
また、患者さんの主観的な痛みやしびれなども確認するようにしましょう。

身もふたもない言い方ですけど「強すぎず、弱すぎず」これが一番です。
自分の腕に巻いてみて、しっかり感覚をつかんでみるのもいいかもしれませんね。

駆血帯について

駆血帯は腕を駆血できたらなんでもオッケーです。

紐でもゴムでも布でもバンドでも。

なんでもいいのですが、ちゃんとした駆血ができるグッズがたくさんあります。
代表的なものを3つ説明していきます。

ゴム菅(アメゴム)

ゴムのみのものです。
昔ながらの駆血方法ですが、キャリアが長い人はこれが一番やりやすいという方もおられます。
ちなみに、僕も臨床ではゴム菅のみが好きでした。
理由は、金具は患者さんの身を挟んでしまいそう!っていうのと、ボタン式はただ単に使い方がわからないというだけでした(笑)

看護学生さんや新人看護師さんは、ゴム菅のみでの方法も知っていても損はありません。

ゴム菅で駆血する手順

患者さんの腕の下から回してゴムを通します。
長さが十分なるゴムの場合は、左右の長さ半々ぐらいでいいです。
長さに不安があるときは、引っ張る方(写真では左手側)を長くしておきましょう。
ゴムを患者さんの腕の上でクロスさせてます。
引っ張る方(この場合は右手側)をクロスの上にします。
この際に、ゴムを持つ手も入れ替えます。
挟む側(この場合は右手側)のみを伸ばします。
両方伸ばさないようにするのと、伸ばしていない方の手で患者さんの腕を安定させましょう。
伸ばした方の圧を調整してキープします。
その下に、もう片方(この場合は左手側)折りたたみ、伸ばした方の手で腕とゴム菅の隙間を作ってはさみ込みます。
挟み込んだ方の折り目側を調整しましょう。
折り目が下すぎると、外すときにすぐに外れなかったり、ギリギリ過ぎると処置の途中で外れてしまうことがあります。
2~3㎝程度を目安にしてください。
完成です。
ここから、患者さんの血管を探して実施しましょう。
採血が終了したら、挟み込んだ側の端っこ(写真の左手で持っているところ)を引っ張ると、ゴムがほどけて、駆血が解除されます。
パッと解除できるので、ゴムに慣れてしまうとやりやすく感じてきます。

金具クリップタイプ

金具クリップタイプは、上記のゴム管に金具のクリップがついたものです。
病棟などに置いているのは、このタイプが多いのではないでしょうか。

金具クリップがついているので、ゴム管を引っ張りそのままクリップで挟むだけなので、手技としては簡単です。
ただ、患者さんの皮膚を挟まないように気をつけるのと、クリップの向きを外す方の手がやりやすいように駆血するなどのコツがあります。

金具クリップタイプで駆血する手順

ゴム管の時と同じで患者さんの腕の下からゴムを通します。
この時には、どっちの手でクリップを外すのか先に決めておきましょう。
写真は右手で外せるようにしています。外す方の手側にクリップの持ち手を向けましょう。
次にゴム菅の方だけ引っ張ります。
両方引っ張ると、クリップを挟む位置がずれたり、きれいに駆血ができません。
しっかりと圧がかけられるぐらいに引っ張ったら、クリップでゴムを挟みます。
このときに患者さんに皮膚を挟まないように、腕からほんの少し離したところで挟みましょう。
端の部分が下にきてしまうことで、採血のジャマになったり、清潔操作の妨げになってしまうので、上に向くようにクリップの持ち手に引っ掛けます。

これで駆血の完成です。
採血や注射が終了したら、クリップの持ち手側の手をフリーにして、クリップを外しましょう。
注射器を支える手は持ち替えても大丈夫です。
落ち着いて処置をしていきましょう。

ボタン式

ボタン式は伸縮性のある布地のバンドにワンタッチで外せるボタンがついている駆血帯です。
慣れると一番便利で、駆血だけじゃなく、タニケットととして止血にも使えます。

また、バンドはゴム管よりも幅が広くて局所的な圧迫を避けることができ、患者さんの苦痛も軽減できます。
使い方に慣れてしまえば、断然ワンタッチボタン式が便利で、患者さんにもいいでしょう。

ボタン式駆血帯の種類はいくつかあって、なかには本当に使い方が難しいものがあります(教員の時に実習室にあったものは使い方が全くわからないものでした)。

今回紹介するものは、一番シンプルで使いやすいものです。
お値段もお手頃ですので、一つはもっていても損はしません。

ボタン式の手順

ボタンを外して、写真の向きになるように準備します。
写真のように患者さんの腕に巻いていきましょう。
ボタンと接続をカチッとつなぎます。
このときは、まだ駆血帯は緩くて大丈夫です。
写真の右手で持っている側のバンドを引っ張ると駆血帯が締まっていきます。
ここで圧を調整しながら、駆血していきましょう。
締め過ぎないように患者さんに声かけや確認をしながら駆血していきましょう。
圧がしっかりとかけられて、駆血ができたら採血や注射などの処置をします。
処置が終わったら、片手でボタンを押すと、ジョイントが外れて駆血が解除されます。
片手でワンタッチですので、とっても便利です。

まとめ

駆血や駆血帯について、解説をしていきました。
駆血は採血を成功させるための重要な技術です。
駆血帯の基本的な使い方を知ったうえで、自分が一番やりやすいものや方法を選んでいってほしいと思います。

便利で使いやすいのはやっぱり「ワンタッチボタン式」だと思います。
ゴム菅では短すぎると駆血したときに外れやすく、金具は患者さんを傷つけてしまう可能性もあります。
患者さんにも優しくて、簡単に駆血や解除もできるのはやっぱり「ワンタッチボタン式」です。
ボタン式の中でもシンプルで使いやすいものを選んでください。

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