超初級と題しまして、看護の基礎知識として大切なところを解説していきたいと思います。
今回は心臓をテーマに、解剖の観点を踏まえて、疾患や症状などをできるだけかみ砕いて説明していきたいと思います。
国家試験問題
では、先に看護師国家試験の過去問から見ていきましょう。
急性左心不全の症状はどれか。
1. 肝腫大
2. 呼吸困難
3. 下腿浮腫
4. 頸静脈怒張
さぁ皆さんどれが正解だと思いますか・・・・
この問題を解くには体循環と肺循環について知っておく必要があります。
心臓の4つの部屋
心臓には4つの部屋があります。
右心房、右心室、左心房、左心室です。
まず、この部屋が心臓のどの部分を表しているのかを見てみましょう。
これがお部屋の位置です。
これを覚えておくことは循環器疾患を理解するうえで重要になってきます。
と、心臓を覚える前に、患者さんやレントゲン、人体の絵などをみたときの左右の見方を知っておきましょう。
これは間違えないようにしてくださいね。
そして、心臓に戻ります。
右の上が右心房、左の上が左心房。右の下が右心室、左の下が左心室です。
しんぼう→ ぼう ”う” がついているから うえ です。
しんしつ→ しつ ”し” がついているから した です。
これで覚えたら、あれっどっちやったっけ…となっても思い出すことができますね。
血液循環
これで、お部屋の場所がわかりました。
次は、血液の流れ、血液循環を学習しましょう。
これも絶対に忘れない覚え方があります。
血液には、心臓に入るときと出るときのルールがあります。
上から入って、下から出る。というルールです。
先ほど、心房が上で心室が下というのは覚えましたね。
そうなんです、
上から入って「心房から入って」、
下から出る「心室から出ていきます」
簡単だと思いませんか?
動脈と静脈
次のステップにいきましょう。
次は動脈と静脈。血管ですね。
心臓から出ていく血管が動脈です。
心臓に帰っていく血管が静脈です。
では、動脈は、心臓からどこに出ていく血管なのか。二つあります。
全身と肺です。
ここから返ってくる血管が静脈です。
酸素を十分に含んだ動脈血が肺から左心房に送られます。
上から入ってきます。
それが左心室に行き、そこから全身に酸素を含んだ動脈血が送られていきます。
下から出ていきます。
動脈血は全身の細胞に酸素を行きわたらせ、ガス交換を行い二酸化炭素を多く含んだ静脈血になります。
静脈血は右心房から心臓に入ってきます。
上から入ってきます。
ここまでが体循環になります。
そして、右心室に送られた静脈血は、右心室から肺へ向かいます。
下から出ていきます。
肺に到達した静脈血は、二酸化炭素を排出し、酸素を多く取り込み動脈血になります。
酸素を十分に含んだ動脈血は左心房に送られてきます。
上から入ってきます。
ここまでが肺循環です。
という繰り返しになります。
これが血液循環です。
国家試験問題の解説
この流れさえ覚えてしまえば、始めに出した国家試験の問題も解けるようになります。
急性左心不全の症状はどれか。
1. 肝腫大
2. 呼吸困難
3. 下腿浮腫
4. 頸静脈怒張
左心不全ということは、心臓の左側が弱っているということ。
左は全身に血液を送る機能と、肺から血液を送ってこられる機能がありましたね。
このことから、
全身に血液が送ることができないがために出てくる症状
肺が血液を送ることができないがために出てくる症状
これが、左心不全の症状です。
肝腫大は、全身を巡った血液が返ってこれなくて、うっ血してしまったために肝臓が大きくなる症状です。
ということは、右心不全の症状です。
全身を巡った血液が返ってくる場所は右心房でしたね。ですので、右心房のある右心に障害があると起きる症状ですね。
呼吸困難は呼吸に関連した症状なので、肺に障害があると出てく症状です。
ということは、肺から送る血液が滞ってしまっている状態です。肺からの血液が入る場所は左心房です。
ですので、左心房のある左心に障害があると起きる症状になります。これが正解です。
この二つも右心不全の症状になります。考え方としては、肝腫大とおんなじです。
全身を巡った血液が返ってくる右心房。右心房がある右心に障害が起きると、血液が全身に送ることができないため血液の滞りが起きます。すると、静脈にうっ血を起こしてしまい、静脈から滲みでた体液が下肢に溜まって浮腫が起き、静脈もパンパンになり怒張が起きます。
まとめ
心臓の部屋や体循環、肺循環について、理解することができましたでしょうか。
これを知っておくだけで、循環器の理解が全然ちがってくると思います。
これらの知識を活用して看護につなげていってくれたら、うれしく思います。
下記の本なども参考にしてください。