看護の基礎技術

基礎看護技術 臥床患者さんの寝衣交換

看護学生さんにとって、基礎看護技術は難しいことばかりだと思います。なぜそのようにするのかをしっかりと理解して技術が使えるようにならないといけないので、学習するのも大変ですよね。
少しでも学習に役立てるように今日は寝衣交換ですが、手順を記述していきます。

衣生活について

衣生活には、身体的意義、心理的意義、社会的意義があります。

心理的意義
衣服を用いることによる体温調節の補助や身体を保護する働きがあります。また、日光や害虫、有害物質などから身をまもり、擦過傷などの傷害も防止します。 さらに、皮膚の清潔を保つという意義もあります。外や内からの汚れを衣服に付着させて、被服気候を適切に保ち、発汗や不感蒸泄を少なくし皮膚の汚染を防ぐことができます。

心理的意義
自己表現としての意味があります。衣服を選択するという行為には、その人の好みや気持ちが衣服に反映されることもあります。好きなものを選択し納得したものを着用すると満足感が得られ、前向きな気持ちにもなります。着ている衣服によって気分や態度、行動までも影響されることがあります。

社会的意義
他の人との交流をする際に、清潔で品位のある衣服を身に付けることは重要です。 礼装や職種を象徴する制服、ユニホームなどその場に適した衣服を選択し着用するのも社会的な意義になります。

被服気候について
人間が着用する被服は、肌と外の環境との間にあり、その間の熱と水分の移動に関する関連因子となっています。服をきている人は、被服気候を適切な範囲に保てるように被服の素材や衣服の着方等を変えて、熱放散量を調節することによって温かさによる快適感を得ています。一般的に皮膚に最も近い衣服の温度32±1℃、湿度50±10%あれば快適といわれます。

衣類の選択

衣類を選択するにあたりアセスメントすべきことについて
患者さんの思いを反映させられていますか。患者さんが自分の気に入っている衣類を着ることができていますか、また着ている衣類に満足していいますか。着心地はどうですか、動きやすさは、熱さや寒さに対応できていますか、清潔な衣類を身に付けていると感じることができていますか等をアセスメントしていきましょう。患者さんとコミュニケーションをとったり、全身状態を観察したり、バイタルサインなどからも検証し、衣類を選択できるようにします。
患者さんの状態に合わせて、和式寝衣やセパレートのパジャマなどを考慮していきます。患者さんのADLを向上させることができるような衣類を選択することも大切です。

汗をかいて湿った寝衣は放湿性が低下し皮膚への密着が大きくなり、熱放散を助長させて体温を低下させるので、直ちに交換しましょう。

不感蒸泄について 
皮膚や粘膜から蒸発して失われる水分は知覚されないので、不感蒸泄といいます。
常温で安静にしているときでも、1日900g(520kcal)の水分蒸発があるといわれています。そのうち皮膚からは1時間26g、1日約630gの水分が蒸発しています。睡眠時はコップ1杯(約200g)の不感蒸泄があるといわれれています。

寝衣交換はどのタイミングでするのか
汚染が強いとき(血液、体液、排泄物、飲食物、吐物、薬品など)、またこれらにより湿潤があるときや臭気があるときなどの場合は寝衣交換をしましょう。検査時や検査終了時、外出や外泊、来客時、退院時、患者のADLや日常生活に合わせて行っていく必要もあります。

寝衣交換の実際

1)準備物品
新しい寝衣
患者さんの発汗や皮膚の状態、体格、ADLに合わせた着脱のしやすさ、好みに合わせたものを準備しましょう。のり付け加工された寝衣は一度洗濯をします。 のり付けされていると、通気性を低下させて、体温の放散や衣服内の空気の清浄を保つ機能が低下します。その結果、菌が繁殖し安定化してしまう恐れがあります。

綿毛布
綿毛布を活用することで、保温やプライバシーへの配慮ができます。

2)実施の環境について
室温 24±2℃ 衣服を脱ぐので、やや暖かめに設定をします。
プライバシーへの配慮 カーテンやスクリーンの活用をしましょう。

3)実施について
患者さんの準備
バイタルサイン、患者さんの状態やセルフケア能力を考慮した実施方法をしっかり考えましょう。
ベッドの高さを自分の身長に合わせます。

保温のため綿毛布をかけます。

患者さんの寝衣を脱いでいきます。
綿毛布の中で行いましょう。
常にリハビリを意識して、肘を下から上に挙げて脱いでいきます。
無理な運動による脱臼を予防することができます。肩の肩甲上腕関節は、上腕骨頭の面積に比べて小さく、また、肩関節は外転位で下方に引っ張られると脱臼しやすい。
気をつけて脱いでいきましょう。

◎麻痺や障害などがある場合、原則として健側から脱いで、患側から着ていきます。
点滴をしている場合も一緒です。点滴していない側から脱いで、点滴をしている側から着ていきます。

脱いだ寝衣は内側が中になるように丸め、新しい寝衣を脱いだ側の片側のみ着せましょう。

患者さんを側臥位にし、脱いだ寝衣を内側に丸めて体の下に入れ込みます。
次に、新しい寝衣の背縫いを脊柱に合わせ整え、体の下に入れ込みます。
紐を腰の部分に調節し、体のしたに入れ込みます。

仰臥位に戻し、寝衣を脱いでいきます。落屑が落ちないように気をつけましょう。
新しい寝衣を引き出し腕を通します。寝衣は右前で合わせるようにします。

◎和式寝衣の右前。左前とは。
自分の体に近いほうを前と呼びます。ですので、前というのは自分の体に接する部分が前となります。右前は右のみごろが体に触れるようにします。左前は亡くなられた方にする着方です。間違わないようにしましょう。もう少しわかりやすくするのでしたら、着たときに右手が懐に入るようにしたらいいでしょう。

背部のしわを伸ばします。
しわがあることで褥瘡の原因となります。また、着心地も悪くなります。
腋窩下の後みごろをハの字で引くと背部のしわが取れます。さらに患者さんの腰部を支えて股の間から寝衣の下を引っ張ることで、下の方のしわが伸びます。

紐を結びます。
横結びになるようにします。 縦結びは亡くなられた方にする結び方です。気をつけましょう。

4)実施後について
病床環境を整えます。
カーテンを開け、ベッドの高さを戻しましょう。

更衣後の寝衣について
寝衣が患者さんのものである場合、寝衣をどうするのか患者さんに相談しましょう。寝衣が 貸し出しのものや血液、吐物、排泄物などで汚染された場合は、その施設のルールに従って処理してください。

まとめ

寝衣交換は、患者さんの寝衣を使うこともあり、どのタイミングで行っていくのか患者さんと相談していくことが必要になります。寝衣が汚れていたり、濡れていたりしていたら交換をしてあげたいと思いますよね。患者さんが快適に過ごせるように、しっかりと身体的、心理的、社会的なことも考えて実施していきましょう。

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