看護の基礎技術

筋肉のフィジカルアセスメント

フィジカルアセスメントについて今回も学んでいきましょう。
今回のテーマは筋肉と運動器についてです。
関節については、別の回でやったので、骨と筋肉を中心に解説していきます。

骨格の基本構造と機能

成人の骨格は、約200個の骨からなります。

骨の機能

①運動機能 関節でつながった骨は骨格筋の収縮で運動します。
②支持機能 骨格を形成し、身体の支柱となります。
③保護機能 骨格により臓器を保護します。
④造血機能 骨髄で赤血球・白血球・血小板を産生します。
⑤貯蔵機能 カルシウムリン無機質を貯蔵します。

骨の構造

骨の両端を骨端、その間の幹の部分を骨幹といいます。
骨幹は管状となっています。
骨幹と骨端の境目で骨幹の両端にあたる部分には、骨幹線があります。
骨端は、他の骨と関節で繋がっている部分で、関節面は軟骨の薄い膜で覆われています。
これにより、接続する他の骨との摩擦が軽減されています。
関節面以外の部分は骨膜で覆われています。

長骨の骨幹部分は、表層側が硬い緻密質内側が海面質となっています。
表層側の緻密質は、骨皮質とも呼ばれます。
海面質の部分は細い骨梁により網の目のような構造になっており、多くの隙間を有しています。
この隙間に骨髄が入っています。

骨格筋の基本構造と機能

筋肉には、骨・関節とともに運動に関与する骨格筋(随意筋)胃腸・尿管などを形成する平滑筋(不随意筋)心臓を形成する心筋があります。
通常、運動器系で扱う筋肉は骨格筋になります。

骨格筋は、体重の約40%を占める筋肉で、筋繊維に対して横に走る細かい縞模様があることから横紋筋と呼ばれます。
骨格筋は、収縮・伸展する筋肉で、それに伴い関節も動くことで副産物として熱が産生されます。
全身の体熱の約85%は筋肉で産生されています。

骨格筋の特性 

次のような特性から、骨格筋は運動が可能となっています。

興奮性があり神経の刺激によって興奮する。
収縮能があり、自身の長さを縮めることができる。
伸展性があり、その長さを伸ばすことができる。
弾力性があり、収縮・伸展後に元の長さに戻ることができる。

骨格筋がある運動を行おうとするとき、運動の方向に作用する筋を作動筋、それとは逆向きに作用する筋を拮抗筋といいます。
上腕を例に例えると、肘関節の屈曲においては、上腕二頭筋が作動筋、上腕三頭筋が拮抗筋となります。

筋・骨格系のフィジカルイグザミネーション

筋骨格系のフィジカルイグザミネーションのポイント

①筋・骨格の状態
②関節・関節周囲の状態
③関節可動域
④筋力

今回は、筋力のフィジカルアセスメントについて解説していきます。

筋力のフィジカルイグザミネーション

筋力は日常生活行動や運動を行うためには不可欠な要素です。
筋力を測定することで、運動を起こすために必要な筋力が保持されたいるのかを確認します。

徒手筋力検査(MMT)

徒手筋力検査(MMT)は、各関節を動かす筋または筋群の筋力を道具を用いずに調べる検査です。
治療やリハビリテーションの効果判定などの目的で実施されます。
原則として、個々の筋肉ではなく1つの関節運動における筋力を5~0までの6段階で評価します。

まったく筋収縮がないのが0フルパワーが入るのが5です。
ポイントは、重力に打ち勝って手や足を動かすことができるかどうかです。
その境目が3で基準になります。

MMTの方法

  1. まず、検査できる体位にします。目的となる関節可動運動がしやすい体位にしましょう。
  2. 検査をするまえに、あらかじめ関節の周囲に腫脹や疼痛、発赤などの異常がないかを確認します。
  3. 基準となるMMT3の動きを行ってもらいます。重力に対して運動できるかどうか見ます。
  4. 3が可能であれば、関節運動に対して抵抗を加えます。
  5. 抵抗力を確認し、MMTの評価をします。
  6. 3が不可能な場合は、重力を除去できる体位(平面上)にし、動きができるのかを確認します。
  7. 重力を除去しても関節運動が不可能な場合は、筋肉の収縮があるのかを確認します。

筋力のフィジカルアセスメント

日常生活に必要な筋力が保たれているのかを測定することで、患者さんの支援を考えることができます。
患者さんが日常生活を送るうえで、何ができて、何ができていないかを正しく把握必要なケアを判断します。
様々な日常生活動作では、どこの筋力がどれぐらい必要になるのかを知っておくことが大切です。
それらを指標にし、アセスメントを行うことでケアの視点が見えてきます。
また、純粋に筋力の低下が原因なのか、それとも関節か、脳や神経からの障害なのかも含めてアセスメントをしていく必要があります。

まとめ

今回は骨格筋の筋力に焦点を当てて解説をしていきました。
患者さんの普段の生活をしっかりと観察することから、フィジカルアセスメントはスタートします。
患者さんのできること、できていないことをしっかりと見極めて、そのできない理由を探るためにフィジカルアセスメントで考えていきます。
そこから患者さんへの支援に繋がっていくと思います。
フィジカルアセスメントは、形態機能学の知識がどうしても必要になりますので、どこかで形態機能学を中心とした解説をしていきたいと思っております。

今回の参考文献です。いつもとあんまり変わりないですが…
どれもおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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