看護の基礎技術

頸部のフィジカルアセスメント!

今回のフィジカルアセスメントは頸部について解説していきます。
頸部は気管、リンパ節、甲状腺などをしっかり診ていく必要がありますね。
脳神経でいくと、副神経(Ⅺ)が関連します。
服(副神経)を着るとき首(胸鎖乳突筋)と肩(僧帽筋)を通す。

ごろ合わせですが、よかったら活用してください💦

それではいきましょう!

頸部の基本構造と機能

頸部には、気管、食道、頸動脈などの大血管頚髄などの重要な器官が多くあります。
また、頭部と頸部を支える2大筋肉である胸鎖乳突筋僧帽筋があり、首の屈曲、伸展、回転などの運動に大きく関与しています。

胸鎖乳突筋は、胸骨上部から始まり、上部が耳の後ろにある乳様突起に付着していることから、胸鎖乳突筋と言われています。
顔を横に向けたときに、首に斜めに見える筋のことで、主に頭部を左右に捻る回旋や、頭部を横に傾ける測屈などの動作時に使われます。

僧帽筋は、首から肩をつなぐ大きな三角形の筋肉です。
肩こりなどでマッサージをしてほぐす部分がこの僧帽筋です。
僧帽筋は上部、中部、下部に分類され、それぞれではたらきが異なります。

上部は主に鎖骨や肩甲骨の挙上動作に使われます。
厚くて力も強い僧帽筋の中部は、肩甲骨の挙上、内転、上方回旋動作に大きく貢献します。
中部の筋力が落ちたりし弱化すると、肩甲骨が外側に開こうとして猫背の原因になります。
下部は、肩甲骨の内転、上方回旋を手助けします。

頸部には、人体最大の内分泌器官である甲状腺が頸部のほぼ中央に位置しています。
甲状腺の重さは約30g程度あり、蝶の羽の部分にあたる左葉と右葉中央部の峡部からなります。
甲状軟骨の喉頭隆起(成人ではのどぼとけ)の下部、輪状軟骨のすぐ下に位置します。
甲状腺の右葉と左葉は、大部分が胸鎖乳突筋に覆われており、正常では触診で触れることができません。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などでは触診や視診によって甲状腺の肥大がわかります。

リンパ系について

リンパ系は、リンパ液とリンパ管、リンパ節からなります。
リンパ液リンパ管の中を静脈と同様に末梢から身体の中心に向かって流れています。
リンパ節円形、卵形、あるいは豆形であり、部位によって大きさは様々です。
リンパの流れは左右対称ではありません。
右上半身のリンパは右リンパ本幹に、その他すべてのリンパは胸管にあるまり、それぞれ左右の静脈角で鎖骨下静脈に注ぎます。


リンパ系の主な機能は

①余分な間質液を血液中に戻す。
②消化管からの脂肪と脂溶性ビタミンの吸収と輸送
生体防御機能

の3点です。
リンパ節は、正常ではほとんど触れることはありませんが、頸部リンパ節は体表に近く炎症時に触れやすいため、リンパ系のアセスメントでは大切な部位になります。

副神経について(Ⅺ)

脳神経の最後から2番目の神経です。
副神経は胸鎖乳突筋僧帽筋の運動を司る運動神経です。

一次運動野から情報は錐体路(皮質延髄路)を通って、反対側の延髄にある疑核および頚髄にある副神経核に行き、次に副神経核から副神経を経て胸鎖乳突筋と僧帽筋に行きます。
一次運動野 → 錐体路 → 副神経核 → 副神経 → 胸鎖乳突筋と僧帽筋
このどこかに障害があると副神経麻痺が生じます。

頸部のフィジカルイグザミネーション

甲状腺のフィジカルイグザミネーション

患者さんに座位になってもらい、向かい合って座ります。

  1. 患者さんに頸部を少し後屈してもらい、頸部の喉頭隆起(のどぼとけ)を軽く触れて、そこから指を下にずらし、輪状軟骨の位置を確認します。輪状軟骨の1㎝ほど下に甲状腺峡部上縁があり、甲状腺の位置を知る手がかりとなります。
  2. 甲状腺を正面や側面から観察し、視診を行います。
  3. 患者さんに嚥下(コップの水を飲んでもらう、空嚥下してもらうなど)してもらうと、甲状腺が甲状軟骨や輪状軟骨とともに上下に動くため、異常を発見しやすくなります。嚥下にともなう動きの左右差の有無も確認します。
  4. 触診を行います。正面からの方法。患者さんの正面に立ち母指で触れます。右指で触診する場合(患者さんの甲状腺左葉の触診)は、左手で気管を右側に圧迫しながら右母指で胸鎖乳突筋をどけるようにして、その下の甲状腺を触診するイメージです。できるならば、患者さんに嚥下してもらいながら行います。
  5. 背後からの方法。患者さんの背後に立ち、両手で軽く頸部を押さえるように手を置きます。背後からの場合は第2・3・4指の3本で触診します。
  6. 左葉を触診する場合、右手の指で気管を内側に押しながら、左手の第2・3・4指で胸鎖乳突筋をどけるようにし、その下の甲状腺に触れるイメージです。できるならば、患者さんに嚥下してもらいながら行います。

頸部リンパ節のフィジカルイグザミネーション

患者さんに座位になってもらい、向かい合います。

  1. 両手の第2・3指で柔らかく探るように、左右の頸部のリンパ節を触診し、リンパ節の腫脹の有無を確認します。
  2. オトガイ部のリンパ節は1か所なので片手で実施します。

副神経のフィジカルイグザミネーション

上部僧帽筋検査をします。

  1. 援助者が患者さんの肩に手を添えて押し下げます。患者さんはその抵抗に対して肩を挙上してもらいます。
  2. 患者さんの指先の位置でも僧帽筋の検査ができます。
  3. 患者さんに立位になってもらい、肩の力を抜いて上肢を体幹の横に下げてもらいます
  4. 両指先が大腿のどのくらいの位置にあるかを左右で比較します。


胸鎖乳突筋検査をします。

  1. 患者さんの頬に手を当てて、患者さんにはそれに対抗するように顔を外側に向けてもらいます。
  2. 顔の向きと反対側の胸鎖乳突筋の筋力の強さがわかります。左右を比較します。

頸部のフィジカルアセスメント

フィジカルイグザミネーションで得た情報から、アセスメントをしていきましょう。

甲状腺の状態をアセスメントする


通常では、甲状腺の左右の葉は触れることはありません。ただ、痩せている人であれば母指程度の大きさで柔らかく触れることがあります。
視診や触診で腫大の有無が確認される場合は、結節の有無や硬さ、圧痛の有無、可動性、左右差なども診ていきます。
全体性に腫大しており柔らかく可動性がある場合はバセドウ病を疑います。
腫大が結節的であり、硬い場合は甲状腺癌を疑います。
ただ、どのような場合でも、それだけではなく他の症状や患者さんの訴えなどから総合的に判断していきます。医師に報告し指示を確認しましょう。

頸部リンパ節をアセスメントする

リンパ節も正常では触れることがないか、もし触れたとしても1㎝以下です。
リンパ節に触れた場合は、大きさや位置、圧痛の有無、輪郭の形状、硬さ、可動性、左右差などを見ていきます。
触れても1㎝以下で、可動性があり圧痛がなければ正常であることが多いといわれています。
炎症を起こしている場合は、腫脹し圧痛と可動性があります。
悪性リンパ腫では、腫脹し圧痛はないが、ゴムのような硬さが見られます。
転移性の悪性腫瘍の場合は、腫脹し圧痛はないが、石のような硬さが見られます。
いずれの場合も、他の症状や訴えなどを総合的に判断し、医師に報告しましょう。

副神経をアセスメントする

僧帽筋や胸鎖乳突筋の筋力の低下がなく、左右差が見られない状態が正常です。
僧帽筋が麻痺している場合は、肩に添えた援助者の手に対して、肩を上に挙げることができません。また、手を体幹の横に下げた際に、指先が健側よりも患側のほうが下がっています。

胸鎖乳突筋が障害されている場合は、援助者の手に対して顔を外側に向けることができません。
また、胸鎖乳突筋が両側性に障害されている場合は、仰臥位からの頭部を挙上することが難しくなります。
副神経は、両側の大脳皮質から支配を受けているので、中枢性の片側障害では異常を認めることが少ないといわれています。
副神経の障害は、頭頸部癌などで見られることがあります。

まとめ

頸部のフィジカルアセスメントについて、解説をしていきました。
頸部はリンパや甲状腺、神経系など診るところが多くあります。
そのため、頸部は呼吸や循環においても観察する点はたくさんありますね。
だからと言って、全部をいっぺんに学習するのではなく、一つ一つ覚えて、理解していきましょう。
今回の参考文献「はじめてのフィジカルアセスメント」「日常生活行動から見るヘルスアセスメント」「看護がみえる フィジカルアセスメント」でした。





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