今回は周手術期の看護実習で学びが深められる参考書を紹介したいと思います。
急性期の実習では、よく周手術期の患者さんを受け持つことが多いのではないでしょうか。
整形外科や消化器外科、呼吸器外科などたくさんの科がありますよね。
紹介する参考書ですが、
その名も「急性期看護実習ガイド」です!
なんか、そのまま感じです。
この参考書は、あんまり売ってないんですよね。
ただ、Amazonにはあるみたいなので、よかったら読んでみてほしいなって思います。
皆さん、実習や看護師になってすぐのときに「これは困った!」と思うことの一つに、略語がわからないってことはありませんか?
ESD、ERBD、EMR、ENBD、ERCP…
Eがつくもので、消化器に関連するものです。まだまだありますよね。
一つ一つの意味を知って、治療なのか検査なのかしっかりと見極めて看護に活かしていく必要があります。
本書では、それらについて、図と略語の意味、簡単な内容について説明してくれているのです。
この図がシンプルで理解しやすく、一覧になっているので、ほかの治療とどこが違うのか比較しながら理解することができます。
正直、これだけでも本書の価値はすごく高いと思いました。
どんな内容?
本書の構成は、術前・術後の一般的な内容に関する総論と、消化器疾患や乳癌などの内分泌疾患、呼吸器疾患の周手術期の看護について解説している各論で構成されています。
そのほか付録に、急性期看護の基本技術として輸液療法、人工呼吸器、術後疼痛管理などについて解説してくれています。
各論では、消化器疾患が多くあるので、外科病棟で実習や勤務する方にとっては本当に必要になる本だと思いました。
総論について
総論では、術前と術後にわけて解説をしています。
術前
手術前のアセスメントの視点を、具体的に書いています。
術前の各機能検査とアセスメントとして、呼吸器、循環器、肝機能、腎機能、免疫でわけられており、フィジカルイグザミネーションについても図を用いて解説しています。
術後合併症をもつ患者のアセスメントとして、循環器疾患患者、呼吸器疾患患者、糖尿病患者、肥満患者について解説してくれているので、術前からしっかりと把握しておくべきことが理解できます。
糖尿病が既往歴にある方も最近は増えてきていますよね。
糖尿病患者さんの術前評価や創部感染の原因についても表で出してくれているので、手術前のアセスメントにすごく使えます。
術後
術後看護の目的・目標
手術後の看護の目的は、麻酔管理下で行われた手術の影響を最小限にとどめ、人間が本来持っている修復力によって回復する過程を医療チームメンバーとともに援助することである、
急性期看護実習ガイド p34より
- 呼吸・循環動態が安定する
- 合併症を予防し、機能回復に努める
- 随伴症状(創痛、発熱、痰の喀出困難、口喝、不安・不眠)を緩和する
- 創傷治癒の促進に努める
- 入院生活における日常生活の援助を行い、安楽や安心のニードを満たす
- 段階的な日常生活の自立を援助し、社会生活への復帰をめざす
- 機能障害への適応と健康障害の再発の要因を理解した自己管理を目指す
全身状態の管理として、術直後の看護を表として示してくれています。
術後の患者さんの観察の視点を網羅していますので、とても参考になります。
早期離床についても、意義についてや実際の初回離床の進め方を具体的に解説されています。
術後合併症については、全身麻酔下で開腹術を受けた患者に共通する術後の問題として、術後のどの時期にどんな合併症が起こりやすいのかも表で理解しやすくなっていますので、しっかりと抑えておきましょう。さらに、それぞれの合併症における標準看護計画も参考になります。
基礎疾患のある患者の術後管理も表で示しています。
基礎疾患と術後の関連でつまずく人もいるのではないでしょうか。そんな悩みもこの表を見ることで、解説しますよ。
各論
各論は、消化器疾患と内分泌疾患、呼吸器疾患にわかれています。
全身麻酔で行う外科的な疾患を解説してくれていますので、癌がほとんどです。
一例として、消化器疾患のもくじについて示しておきますね。
- 胆石症
- 胃癌
- 食道癌
- 結腸癌
- 膵臓癌
- 直腸癌・ストーマケア
- 炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎・クローン病
- 肝癌
各論では、疾患の基礎知識から、症状・検査・治療・看護計画まで参考にできる内容がたくさんあります。
とくに実際を見る機会が少ない治療については、この本はとってもわかりやすく解説してくれています。
絵で示してくれているので、本当にわかりやすい!イメージがしやすいので、実習の学習にはとても役に立つと思います。
ぼくも学生さんに治療法の説明をするときは、この絵を見せながら説明をしています。
おわりに
「急性期看護実習ガイド」を紹介しましたが、この本があるのとないのとでは、周手術期の看護過程の展開に大きく差がつくのではないかと思います。
術前から術後、基礎疾患のある方の合併症など、学習に役立つことばかりだと思います。
患者さんへの看護につながる内容だと思いますので、周手術期の実習や病棟で勤務する方は、ぜひ一読してほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。