今回のおすすめ参考書は、「実践!リハビリテーション看護-脳卒中を中心に‐」です。
初版が平成13年ですので、けっこう歴史のある書籍ですね。
この本のコンセプトは
「第一に看護学生にわかりやすくリハビリテーション看護について理解させたい。第2にどのような領域の看護においても、リハ的な視点での看護が求められる時代背景を考慮して、若い世代のナースのみなさまにぜひ読んでいただきたい。第3に執筆者である教員の臨床経験を十分に生かせる形で構成したい」
実践!リハビリテーション看護 はじめに より
といったものですので、看護学生さんにも新人の看護師さんにもわかりやすく、かつ臨床に則した内容になっています。
図や写真もたくさん使ってくれているので、本当に理解しやすい内容となっています。
著者について
本書は、数人の医療関係者が執筆しているといった構成になっています。
編者が、「神奈川県総合リハビリテーション事業団・リハビリテーション看護研究会」というところです。
看護学校の先生や病院の先生、病院の看護師さんが執筆していますので、看護教育の視点や医師の視点、病棟看護師さんの視点が存分に盛り込まれた内容となっています。
どんな内容?
本の構成
「脳卒中を中心に」という副題があることからも、基本的には脳卒中のリハビリテーション看護に特化しています。
- リハビリテーション看護の基本
- リハビリテーション看護とは
- 日常生活援助の技術
- リハビリテーションと地域連携
といった構成となっています。
最初に基本をおさえよう!ということで、脳卒中の回復過程から図を用いて丁寧に解説しています。
基本をおさえよう
脳卒中の回復過程として急性期→回復期→維持期といった、患者さんの進行によってケアや観察のポイントも変化していきます。
それぞれの期に応じたポイントやおさえておくべき症状などをところ狭しと記述してくれているので、実習で患者さんのケアを考えるときの方向性や観察についてを学ぶことができます。
リハビリテーション看護とは
リハビリテーション看護について、みなさんに絶対に理解しておいてほしいところがあります。
それは、「リハビリテーションの意味と定義」についてです。
リハビリテーションとは、障害をもちながらも「新しい人生を創る」ことを意味するといえます。
実践!リハビリテーション看護 p27 より
著者は、このようにリハビリテーションの意味について記述しています。このあとに、リハビリテーションの歴史についての内容に入っていきますが、「リハビリテーションが運動訓練である」という考え方とは違うんだよっていうことを理解しておいてほしいなって思います。
疾患の理解についても学習しておきましょう。
この本では、脳のしくみから代表的な疾患、対応、治療について解説してくれており、筆者たちの臨床経験を生かした実践的な対応や援助についてふんだんに盛り込まれた内容となっています。
そのため、看護学生さんだけじゃなくて臨床でがんばっている看護師さんにとっても心強い内容です。
日常生活援助の技術
臨床経験を生かした内容となっているので、日常生活援助についても事例を用いて解説しています。
「動く」「食べる」「排泄」「休息・睡眠」「コミュニケーション」といった日常生活援助はもちろんのこと、「おしゃれ」「自分らしくありたい」といった視点からの日常生活援助についての学びもできます。
看護学生さんでも十分に援助ができるところですよね。
ケアについて考える視点を示してくれているだけではなくて、「一人の人間」としての患者さんについて考える視点を示してくれていると思いました。
おわりに
リハビリテーション看護は、看護師として従事していると必ずといっていいほど、必要になってきます。
脳卒中を中心としたリハビリテーション看護の本ではありますが、どの領域にでも役に立つ内容となっていますよ。
そして、「リハビリテーション看護とは」という考え方を十分に深めてくれる良書であるとぼくは思います。
10年以上看護教育に携わっていると、方法に走りがちな学生さん、看護師さんに出会うことがあります。
目先の方法にとらわれないで、その患者さんに対して本当に必要な援助は何なのか、患者さんに生き様や生活について深く考えた上で、目的を持った援助につなげていってほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
リハビリテーション看護の意味を知って、すてきな看護を実践していきましょう!