看護の基礎技術

目の動き!フィジカルアセスメントを考えよう。

目のフィジカルアセスメントです。
目のフィジカルアセスメントは、視神経のほかに目を動かす神経もみていかないといけません。
目の動きに関連する脳神経は、動眼神経、滑車神経、外転神経があります。
今回は、この3つの神経を中心に眼球運動について、解説していきますね。
まずは軽い気持ちで見ていってください。そこから理解を深めていけるようにでいたらいいなーと思います。

目を動かす筋肉と神経について

目を動かす筋肉は外眼筋といいます。
外眼筋には、6つの種類があり、4つの直近(上、下、内側、概則)2つの斜筋(上、下)で構成されています。
目を動かす筋肉は6つの方向で引っ張りあうことで目を動かします。

目を動かす筋肉を支配しているのが、3,4,6番目の神経です。

動眼神経が3番、滑車神経が4番、外転神経が6番です。


滑車神経外転神経純粋な運動神経ですが、動眼神経は運動神経成分と副交感神経成分を含む神経です。そのため、動眼神経は、眼球運動だけでなく眼瞼挙上や対光反射にも関与しています。

※なぜ下に動かすのが上斜筋なのか。
上斜筋が滑車をくぐりぬける構造になっているため、筋肉の動く方向と眼球の動く方向が逆になります。上斜筋が上に引っ張られると、眼球が下に動きます。上斜筋が滑車神経支配と呼ばれるのは、この滑車のついた構造のためです。

眼球運動のフィジカルイグザミネーション

眼球運動のフィジカルイグザミネーションは、外眼球運動の観察と、眼位の観察があります。

外眼球運動の観察

左右、左右斜め上下の6つの方向への眼球の動きをみます。

  1. 患者さんとの距離を30~50㎝程度とって、向かい合って座ります。
  2. 患者さんの目の前に指(ペンライトやボールペンでもよい)を立てて、注視してもらいます。
  3. 頭を動かさず、目だけでこの指先を追うように説明します。
  4. 頭が動いていないことを確認しながら、指をゆっくりと動かし、端で4~5秒間指を止めます。指を動かしながら、患者さんの目の動きを観察しましょう。

眼位の観察

眼位とはまっすぐ正面を見たときの両目の眼球の位置のことです。正常では両目とも正中を向いています

  1. 患者さんに近くの照明を見てもらう、または、30~40㎝程度離れたところからペンライトを見てもらいます。
  2. 左右の瞳孔の同じ位置に光があるかを観察します。

眼球運動のフィジカルアセスメント

外眼筋運動のフィジカルアセスメント

外眼球運動では、眼球を動かす筋肉が正常に機能し、両方の眼球が同じようにスムーズに動いているのかを確認します。
また、眼球を動かした先で固定していられるのかを確認します。


動眼神経、滑車神経、外転神経のいずれかに障害があると眼球運動障害が起きます。
左右の目がそろってなめらかに動けば正常です。

  1. 両側の眼球に動きのズレがある場合は、外眼筋のいずれかに障害が起こっており、障害がない側に引っ張られている状態です。対応する外眼筋または神経が障害されていると考えます。
  2. 最大限に外転・内転したときに目じりまたは眼がしらに白目が残るなど十分に外転・内転できない場合も、対応する外眼筋または神経が障害されていると考えます。
  3. 横に注視したときに眼球が小刻みに揺れているときは、眼振が起こっている状態です。
眼振

規則的な眼球の細かい不随意運動です。
眼球を左右、あるいは上下に引っ張りあう筋肉のバランスが崩れてしまい眼振を起こします。
眼球を動かす筋肉は、正常であればちょうど綱引きで両側のバランスが取れている状態です。この筋肉の引っ張り合いが、99対100のように少しだけバランスが崩れている状態になると、完全に引っ張りことができないため、ぴくぴくと動いてしまいます。
眼振が起こっていると、前庭機能の異常や脳腫瘍による脳幹の圧迫などが疑われる。
ただ、生理的に認められる場合があるため、その他の症状とともに診ていく必要があります。

眼位のフィジカルアセスメント

眼位では、左右に異常が見られた場合は、斜視と呼ばれます。
斜視は、両目の視線が目標に向かって揃わずに、片方の目の視線が別の方向にずれている状態のことです。
内側にずれていると内斜視外側にずれている外斜視と言います。

眼位を観察することで、各神経の障害もわかります。

  1. 動眼神経麻痺
    患側が外または外下方へずれています。眼瞼下垂も伴います。
  2. 滑車神経麻痺
    患側は外旋し、外上方へずれています。
  3. 外転神経麻痺
    患側がに内側にずれています。

また、脳卒中の場合は特徴的な眼位を示します。

  1. 被殻の損傷
    病巣側へ両目ともよってしまっています。
  2. 橋の損傷
    極度に縮瞳し正中位で固定されています。
  3. 視床の損傷
    鼻先凝視となり、両目とも内下方によっています。
  4. 小脳の損傷
    健側へ両目ともよってしまっています。

まとめ

目の動きのフィジカルアセスメントについて、簡単にではありますが解説をしていきました。
脳神経が苦手な方もおられるかもしれませんが、少しずつ慣れていくことで、苦手意識も克服できるようになると思います。

フィジカルアセスメントの授業や実習の事前学習などに活用していただけたらと思います!


今回の参考文献は、「看護がみえる フィジカルアセスメント」「医学書院 基礎看護技術Ⅰ」「フィジカルアセスメントガイドブック」「はじめてのフィジカルアセスメント」です。

フィジカルアセスメントの回では、いつも同じような参考書ですよね…。

もっと色々とほかの本も探してみたいと思います。

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