看護の基礎技術

脳神経 見る!

感覚器のフィジカルアセスメントとして、今回は、見る!について解説してきたいと思います。
脳神経系は覚えることばかりで苦手だなって方もおられると思います。
まずは、苦手意識をなくしてきけるようにしてほしいと思います。

できるだけ簡単にお話をしていこうと思いますが、何か質問などあれば問い合わせをお待ちしておりますね。

「見る」しくみ

普段、見えている景色は、実は目にうつったものを脳で構成し直したものです。
目に景色の情報が入ってくるときには、角膜・水晶体・硝子体を通って網膜にうつります。
眼球は球体なので、網膜も平面ではありません。

ではどうやって平面にうつしているのでしょうか。

金属製のスプーンなどで確認してみます。
スプーンのくぼんだ部分に自分をうつるようにもってみてください。
上下が逆さまですよね。手を挙げてみてください。左右も鏡とは違い、逆になっていませんか。
網膜もスプーンのくぼみと同じ仕組みになっていますので、上下左右逆さまにうつっています。
上下左右逆さまにうつった映像は網膜から視神経をとおり、後頭葉の視覚中枢で構成し直されます。

「見る」脳神経

末梢神経系のうち、脳から発する神経を脳神経といいます。
「見る」ための脳神経は、2番目の視神経がメインになります。

視神経は、2番目ということもあり、脳幹(間脳・中脳・橋・延髄)よりも高い位置に配置されています。
脳神経である視神経が損傷されると、視力障碍や視野欠損などの症状が現れます。
光を網膜で確認し、刺激を脳に伝える役割があります。

網膜で確認され、電気信号に変換された光は、視神経を通って後頭葉の視覚中枢に運ばれて、構成し直されて、目の前のものをそのまま認識できています。

この流れを視覚伝導路といい、部分が障害されていると視覚がどうなるのかというところがわかります。

視覚伝導路って何?

視覚伝導路とは、網膜から確認された光が通る道です。

視覚伝導路

左右の網膜から視神経へ、次は視交叉で合流し部分交差(視交叉の後ろ)をします。
そのまま刺激は、外側膝状体に入って次のニューロンへと引き継ぎされます。
外側膝状体から出た刺激は視放線となり、後頭葉の視覚中枢へ伝達します。

なんだか難しいですよね…。この後も視交叉などは説明がでてくるので、少しずつ理解を深めていきましょうね。

視神経のフィジカルイグザミネーション

視力と視野のフィジカルイグザミネーションには3つの種類があります。

何がどこまで見えているのかを確認します。

視野が狭まっている場合は、本人が異常に気が付いていないことがあるので、患者さんの主観的な情報だけで判断しないようにしましょう。

1.視力検査

30~40㎝程度の距離にある書類や名札などの文字を読んでもらい視力が保たれているのかどうかを確認します。

読めなかったり、指している部分と違う部分を読んでしまうようでしたら、日常生活に必要な視力が保たれていないと考えることができます。

正確な視力検査は皆さんも受けたことがあると思いますが、ランドルト環を用いて実施します。

2.視野検査

患者さんと向かい合って座り、患者さんと援助者と同側の目を覆います。

患者さんには正面の一点をを見つめてもらい、二人の中間の位置で指を動かしながら、外から内に動かしていきます。

見えたところで指をさしてもらい、上下左右の4つの領域で確認します。

正常では、4つの領域で援助者と同じ視野になります。片側が終了したら、もう一方を行います。

患者さんが視線を動かさないように工夫が必要です。援助者の鼻をみつめてもらうなどしてもらいましょう。視線を動かしてしまうと、見える範囲も広がってくるので、スクリーニングできません。また、指を動かして実施するのは、人間の目は止まっているものよりも動いているものに気が付きやすいといわれているからです。母指と示指をこすり合わせるような感じで実施しましょう。

3.眼底検査

眼底鏡を用いて眼底を直接見る検査です。

視神経乳頭、網膜、血管の状態を瞳孔から直接観察します。

瞳孔が散大していたほうが、観察しやすくなるため、部屋を暗くしたり、薬剤により瞳孔散大させたりすることもあります。

視神経のフィジカルアセスメント

検査で得た情報をもとにアセスメントをしてきましょう。
欠損された視野から、視神経のどの部分が障害されているのかをアセスメントしていきます。

※同名半盲とは…両目の視野の左右いずれかが欠損した状態をいいます。

両目ともに、側頭側(耳側)の神経は同じ側を通り、その側の後頭葉の視覚野に到達します。
鼻側の視神経は、視交叉で交わり、反対側の後頭葉に到達します。

左側の視交叉の前で障害が起きると、左目の視野だけがなくなり、右目の視野は影響を受けません。

視交叉で障害があると、両目の鼻側からの視神経が障害されるので、両側の耳側の視野が欠損します。(左右逆にうつるので!)

どちらかの視神経交差の後ろで障害がおきると、両目とも同じ側の半分の視野が欠損します。図は右側の視神経が障害されているので、左側の視野欠損となっています。(左右逆にうつるので!)

患者さんがどのように視野が欠損されているのかをスクリーニングすることで、視神経のどこが障害されているのかをアセスメントすることができます。
とくに、両耳側半盲(視交叉で障害)があるときは、下垂体腫瘍の恐れがあります。
下垂体のちょうど上に視交叉があり、腫瘍ができると視交叉を圧迫するためです。

まとめ

視神経は一見ややこしそうで、複雑そうなイメージがあると思います。
しかし、視覚伝導路だけでも理解しておくことで、考えやすくなると思います。

患者さんの目の状態を知ることで、食事の介助や移動の介助など看護師として支援すべきことが見えてきますよ!
ぜひ、看護につなげていきましょう。

今回の参考書は、「看護がみえるVol3 フィジカルアセスメント」「楽しく学ぶ!看護につながる解剖生理」「フィジカルアセスメントガイドブック」「はじめてのフィジカルアセスメント」を参考にさせていただきました。
どれも見やすい本ですので、看護学生さんとしてはどれか1冊はもっていてもいいと思います。


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