皆さん。食事を食べるときはどのような体勢で食べますか。
立ち食いそば屋さんとか、立ち飲み屋さんなどでは立って食べるかもしれませんが、だいたいの場合は座って食事を食べますよね。
大きな手術や大きな疾病のための治療などで、長い間、寝たきりだった人(長期臥床患者さん)が、これから食事を開始していくとなったとき…
また、脳梗塞や脳出血で体の半身が麻痺になってしまった患者さんが、座って食事をとってもらえるようにする。
患者さんに座って食事を食べてもらうためには、まずイスやベッドに腰かけて座って保つことができるのか、というところをアセスメントしていく必要がありますね。
では、そのために必要な筋肉はどこでしょうか。どこの筋肉を鍛えると、倒れたりずれたりせずに座ることが保てるようになるのでしょうか。
今回は、座って保つことに焦点を当てて考えてみることにします。
今回の参考文献です。「透かしてみるとミルミルわかる解剖生理学」
座るを保つ筋肉はどこか
まずは、皆さん。イスに腰かけてみてください。どこの筋肉を使っていると感じますか。
意識をしてみても、意外と難しくないでしょうか。
イラストを見るとなんとなく見えてきます。
イラストをみてみると、臀部から大腿部をイスで支えて、足底がしっかりと床につくことで支持基底面が広がり安定しています。
座位では、大腿部が固定された状態で、腸腰筋が収縮して腰椎と骨盤を前屈、後屈の中間位に保っています。大腿部の屈曲と伸筋の緊張・弛緩のバランスが取れて、股関節および膝関節、さらに足関節の可動域が屈曲90°に保たれています。
座位では、上半身を支えることも必要です。
脊柱の支持が必要で、脊柱起立筋の収縮で背筋を伸ばします。胸鎖乳突筋をゆるめて、広頚筋を収縮し首を立たせます。
腹直筋を収縮させて腹部に力を入れて伸ばします。外腹斜筋で側腹部から脊柱を支持します。腸腰筋、大腿直筋で上半身の後屈を防ぎます。
もし背もたれがなかったり、大腿による支持が加えられない場合は、骨盤が不安定になってしまい肩甲骨を支える僧帽筋が脊柱の安定化のために収縮します。
上肢を膝におくだけでも姿勢は安定するため、上肢の筋肉も必要になってきます。
各筋肉について
・腸腰筋
腸腰筋は股関節の屈曲を行う筋肉です。
・大殿筋
股関節の伸展を行う筋肉です。
・大腿四頭筋の中の大腿直筋
股関節の屈曲や膝関節の伸展を行う筋肉です。
・大腿二頭筋
股関節の伸展や膝関節の屈曲を行う筋肉です。
・脊柱立毛筋
脊柱の伸展と側屈を行う筋肉です。姿勢制御を行います。
・胸鎖乳突筋
頸部の回旋、胸郭の挙上
・広頚筋
頸部を固定する筋肉です。
・腹直筋
体幹の屈曲を行う筋肉です。
・外腹斜筋
体幹の屈曲、側屈を行う筋肉です。
・僧帽筋
頭部や肩甲骨を固定する筋肉です。
・上腕二頭筋
肘関節の屈曲を行う筋肉です。
・上腕三頭筋
肘関節の伸展を行う筋肉です。
ざっとですが座位を保つためには、このような働きをする筋肉を見ていく必要があります。
まとめ
イスに座って保つための筋肉について、簡単にですが見ていきました。
もし患者さんが筋力の低下で座ることができない状態にあるとアセスメントをしたのであれば、上記に出した筋肉について評価をしてみてください。MMTを活用するといいかもしれませんね。
患者さんのADLが拡大できるように、リハビリや筋力アップを援助に組み込んでいくことも大切です。
ぜひ、普段のケアに取り入れてみてほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。