「フィジカルアセスメント」といえば、看護学生さんや看護師さんには馴染のある言葉ではないでしょうか。
「フィジカルイグザミネーション」や「フィジカルイグザム」という言葉も聞いたことがあるとは思います。
看護学生さんは授業で習う学校もあると思います。
ただ、「フィジカルアセスメント」と「フィジカルイグザミネーション」の違いってなんだ?って方はおられませんか。
はじめ「フィジカルイグザミネーション」という言葉を聞いたときは、よくわかっていませんでした。「フィジカルアセスメント」をかっこよく言ってるだけじゃないのかー!って思ったりもしていました。
もしかしたら、ぼくみたいな方がおられるかもしれないと思って、今回は「フィジカルアセスメント」と「フィジカルイグザミネーション」について簡単にですが、お話をしていきたいと思います。
ちなみに今回の参考図書は「フィジカルアセスメントガイドブック」です。
山内豊明先生の本で、ぼくも院生のときに授業に来てもらいました。サインももらいました!
フィジカルアセスメントとは
患者さんの症状や徴候から情報を収集し、必要に応じて触診や聴診を行い、患者さんの状態を判断することです。
患者さんの訴えを聞き、身体の状態を知ったうえで、身体機能をしっかりと把握して評価することを言います。
フィジカルアセスメントは抽象的な概念です。
具体的な行動に直結するような言葉とは違います。
正しい手技で患者さんの状態を知ることが「フィジカルアセスメントをします」というのは、少し違います。
患者さんの状態を評価・判断し、そのうえで、必要があれば、患者さんの状態を正しく医師やリーダー看護師、他の看護師さんに報告をする。
という一連の過程がフィジカルアセスメントとなります。
フィジカルイグザミネーションとは
フィジカルイグザミネーションとは、実際に情報を手にいれる手段や方法のことを言います。
「イグザミネーション」とは、診察、検査、試験などといった意味があります。
この言葉のとおり、フィジカルイグザミネーションは、身体機能の診察や検査を意味します。
バイタルサインを測定すること、身長を測ること、MMTで筋力検査をすること…などをフィジカルイグザミネーションといいます。
これらをフィジカルアセスメントと一括りにしてしまいがちになりそうですが、言葉の意味を正しく理解して看護を行っていくことで、事故の防止につながったりします。
混同しないようにしてくださいね。
看護におけるフィジカルアセスメント
フィジカルアセスメントは、目的があって行うものです。
バイタルサイン測定にしても、「この時間に測るって決まっているので」「とりあえず、測っておこうと思って」「言われたから…」で測定するのではないですよね。
患者さんへのケアにつなげないと意味がないです。
そう、フィジカルアセスメントは、
生活する者を支援する
ために行います。
生活をする者の根底には、生命維持の確保「生きている」ということがあります。
この「生きている」という状態を支援する。
そのために、バイタルサインを測定し患者さんの状態を知ったうえで、ケアにつなげていく必要があります。
一方、運動器や感覚器においては、「生きている」ことが維持されている前提の下で、目でみたり、腕を挙げてみたり、歩いてみたり…。
これらの機能は「生きている」に対して、「生きていく」機能として捉えることができます。
いわゆるADL(日常生活動作)につながることですね。
このように生活をする者を支援すると考えたときに、生命維持のための「生きている」、生活をしていくための「生きていく」という階層が存在します。
「生きている」の機能
「生きている」の機能は、意思によってコントロールできない部分になります。
意図的に息を短時間止められたとしても、心臓を止めたり、肺胞の広がりをコントロールしたりすることはできないですよね。
呼吸器系、循環器系、消化器系、腎泌尿器系などです。
意思によってコントロールできないからこそ、看護師さんの技量で状態を明らかにできるようになります。
「生きていく」の機能
「生きていく」の機能は、意思によってコントロールすることができます。
歩いたり、座ったり、見たり…などは自分でコントロールできますよね。
自動的に動くものではないです。
ということは、これらをイグザミネーションしていくには患者さんの協力が必要になってくるわけです。
患者さんに意図的に動かしてもらたり、見てもらったりする必要があります。
そのためには、看護師さんの技量とコミュニケーション能力が問われてくるんです。
「生きていく」「生きている」の両方の機能を有するものもあります・
それは、中枢神経系になります。意識レベルや瞳孔反射などがそうです。
まとめ
フィジカルアセスメントの概念について、簡単にですが解説をしていきました。
フィジカルアセスメントのゴールは「診断をする」ことではありません。
患者さんの機能を把握し、それがどのような状態なのかを判断することです。
そして判断した内容から、どのようなケアが必要になるのか、どのような支援が必要になるのかを考えて行動すること、つまりは生活をする者を支援するところまでがフィジカルアセスメントになります。
今回は、フィジカルアセスメントの考え方についてだけでしたので、下記から具体的なフィジカルアセスメントやイグザミネーションについて解説をしていますのでぜひ参考にしてください。