看護師になって病院で勤務すると、患者さんが訴える痛みについて向き合う瞬間っていうのがありまして、ほとんど方が経験していると思います。
術後の痛みであったり、がんによる痛みであったり。
ときにはうつ病による精神的な痛みも・・・
そのような痛みに対して、看護師として向き合い、どうやって緩和することができるのか、アセスメントをして援助を実施していきますよね。
こういったことって看護学生の実習でも経験することがあるのではないでしょうか。
受け持ちの患者さんが術後で痛みを訴えていて、看護師さんや教員に相談したり報告したっていう人もいますよね。
痛みって主観的なもので、本人にしかわからないものではあります。
共感的に感じることはできますが、当人が本当に感じている痛みって絶対にわかりません。
だからこそ、痛みの評価って大事になってきます!
今回は、痛みの評価スケール(ペインスケール)について解説をしていきます。
ペインスケールの活用の仕方についても解説していくので、実習生さんもぜひ参考してほしいなーって思います。
参考文献はこちらです。
がん性疼痛がメインの本で、オピオイドのこととか、薬だけじゃなくて看護としてできる疼痛緩和方法も記載してくれているので、疼痛緩和で困ったている学生にもぜひおすすめです。
ペインスケールとは
ペインスケールは、痛みのアセスメントをより客観的・効率的に評価し、また患者さんやご家族さん、医師や看護師といった医療従事者が痛みの状況を共有するためのツールとなります。
このようなツールを活用することで痛みが有意に早く緩和するともいわれています!
代表的なペインスケール
ペインスケールは、痛みを数値化することで、主観的な痛みに、ある程度の客観性を与えるツールです。
痛みは主観的なものなので、「ある程度の」というところが、どうしても外せないんです😢
代表的なペインスケールは以下のものがあります。
フェイススケール
VAS ビジュアルアナログスケール
0-10(NRS)スケール
ペインスケールの活用方法
よく使用されるペインスケールはどれも、妥当性・信頼性(フェイススケールは成人に対して使用した場合の信頼性の確立はされていないとのこと)があると言われています。
活用する際に注意しないといけないことは、ペインスケールに互換性がないことです。
一つのスケールを用いた場合は、他のスケールで次の評価はできません。
そのため、一人の患者さんに一つのスケールを使用するようにしましょう。
フェイススケール
フェイススケールは、スケール上に示された顔の表情を選んでもらうことで、患者さんの痛みを評価する方法です。
教科書や参考書、病棟とかで見たことがあるかもー
だいたい6~11段階の顔の表情で痛みの強さの程度を表現してもらいます。
小児の患者さんのために開発されたもので、数字を言ったりするのが難しい人向けです。
使用時のポイントとして、心理状況で使用が難しい場面があります。
すごく痛みはあるけど、笑うことはできます「1の顔」
痛みはそこまでではないが、体がだるくて仕方ないから「4の顔」
このような場面も想定して、評価していきましょう。
痛みよりも心理的な「気分」「満足度」の評価には有用と言われています。
VAS(バス)
視覚的アナログスケールのことで、10㎝の直線の両端を、「全く痛みのない状態」と「最悪の痛み」等とに分けて、その間の直線部分で当てはまると思う部分に印をつけてもらう評価スケールです。
この端と端の表現は患者さんと相談して定義を決めることで、より表現が確実になります。
患者さんに記録として用紙を渡しておくことで、経時的な評価にもつながります。
活用の際には、認知機能や視力、書く動作についてのアセスメントが必要になりますが、多くの研究で使用されており、信頼性が高いともいわれています。
このスケールも痛みだけではなく、呼吸困難、吐き気、しびれ、倦怠感、掻痒感などにも応用できます。
NRS(エヌアールエス)
数字評価スケールのことで、0~10や0~5の数字を示して、患者さんに該当する痛みの強さのレベルに合う数字を示してもらう方法です。
口頭での評価が可能であるので、術後などの頻繁な観察が必要な方には活用しやすいでしょう。
実習などの臨床現場でも看護師さんが使用しているところを見た方もおられるかもしれませんね。
数の概念を理解することがちょっと難しい方(小児、認知症の方など)には、使用はできないため、他のスケールを検討する必要があります。
NRSはVASやフェイススケールとの組み合わせもできます。
ただ、患者さん自身の痛みの定義や表現は医療者間で統一しておく必要があります。
ペインスケールのここがポイント
上記で紹介したように、ペインスケールのそれぞれの特徴を理解して、その患者さんに一番あったものを活用していってほしいと思います。
ただ、どのスケールを使用するにしても、その患者さんにあったアセスメントができるように統一しておく必要あります。
NRSで6の患者さんがいます。
看護師A「NRS6でしたら、もうちょっと様子みましょう。」
医師B「NRS6でしたら、痛み止めを早く使った方がいいです。」
看護師や医師によって6の概念が違っていたら、痛みの評価の統一ができません。
患者A「痛い、痛い、今は6です。」
患者B「うーん、(笑顔で)とりあえず6ぐらいかな」
患者さんによっても6の概念が違ってきます。
スケールの定義や概念をしっかりと患者さんごとに統一すること、医療従事者間でも統一することが、有効に活用できる方法になります。
「想像しうる一番ひどい時の痛みが10だとしたら、いまの痛みは何割ぐらいですか」等の聞き方が一般的かなとは思います。
術後の患者さんの場合だと、日にちが経つにつれて、痛みが緩和されてくるので、始めに決めた基準と変わってくることもあります。
評価としては
「昨日の痛みが5としたら、今はどうですか」
と、昨日よりも痛みが増してきているのか、軽減してきているのかを知ることで、離床のタイミングや痛み止めのタイミングなどを考えることができます。
まとめ
ペインスケールの種類や使用方法、注意点について解説してきました。
主観的な情報を上手にアセスメントするためには、客観的な情報に置き換えていく必要があります。
ただ、主観的なことも患者さんにとって大切な情報です。
患者さんの思いをくみ取ることが、看護師にとっては大切になってきます。
語弊を恐れずに言うならば、根拠、根拠ばっかりしばられずに、患者さんと向き合う中で、感じた自分の直感を信じて行動することもありだと思います。
急性期看護でもペインスケールを活用していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の参考文献です!めっちゃ勉強になる本でした!